中小企業が押さえるべき3つのポイント
人手不足が続く中、「今いるパートさんや契約社員に長く働いてもらいたい」「優秀な人材を正社員として定着させたい」と考える中小企業は多いのではないでしょうか。そこで活用を検討したいのが、厚生労働省のキャリアアップ助成金・正社員化コースです。
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善に取り組む事業主を支援する制度です。厚生労働省は令和8年4月8日版として、令和8年度のパンフレット・リーフレット・Q&Aを公表しています。
令和8年度の正社員化コースでは、有期雇用労働者等を正規雇用労働者へ転換した場合に助成対象となります。助成額は、対象者や企業規模によって異なります。中小企業の場合、重点支援対象者を有期雇用から正社員化すると80万円、無期雇用から正社員化すると40万円です。重点支援対象者以外の場合は、有期雇用から正社員化で40万円、無期雇用から正社員化で20万円とされています。
ここで大切なのが、「重点支援対象者」に該当するかどうかです。リーフレットでは、雇入れから3年以上の有期雇用労働者、一定要件を満たす雇入れから3年未満の有期雇用労働者、派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定訓練修了者などが例示されています。重点支援対象者の場合は、2期目の申請が可能とされている点も確認しておきたいポイントです。
ただし、正社員にすれば自動的に助成金が受けられるわけではありません。受給には大きく3つの条件があります。1つ目は、正社員へ転換する前日までにキャリアアップ計画を作成・提出していること。2つ目は、正社員へ転換する制度を就業規則などに規定していること。3つ目は、転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間の賃金より3%以上増額させていることです。
また、加算措置も見逃せません。正社員転換制度を新たに規定した場合は20万円、多様な正社員制度を新たに規定した場合は40万円、正社員転換に関する情報を自社サイト等で公表した場合は20万円の加算があります。多様な正社員制度には、勤務地限定正社員、職務限定正社員、短時間正社員などが含まれます。
中小企業が特に注意すべきなのは、「正社員化してから準備する」のでは遅いという点です。厚生労働省は、各コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を作成・提出する必要があると案内しています。
キャリアアップ助成金は、単に助成金を受け取るための制度ではありません。人材の定着、賃金制度の見直し、就業規則の整備を進める良いきっかけにもなります。パート・契約社員の正社員化を検討している会社は、対象者の確認、就業規則の整備、賃金アップの設計、申請スケジュールを早めに確認しておきましょう。
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