一般的なモデル就業規則を使っていると、会社にとって危ないことがたくさんあります。
例えば、モデル就業規則にある従業員の適用範囲について見てみましょう。
<適用範囲>
1.この規則は株式会社●●の従業員に適用する。
2.パートタイム従業員については別に定めるところによる。
3.別に定めることのない事項はこの規則を適用する。
そもそもパートタイム就業規則があるでしょうか?
もしも無い場合には正社員用の就業規則がパートにも適用されることになります。
これは賞与や退職金、有休、休職など全てについてであり、パートに退職金の支払いが命じられた判例もあるのです。
つまりパートがいる場合には、パート用の就業規則が無ければ、とても危ない!ということになります。
もう一つ、モデル就業規則にある休職期間についてです。
<休職期間>
1.病気による欠勤が○か月を超え、療養を継続する必要があるため、勤務できない場合は、○年以内。
2.特別の事情がある場合は、必要な期間。
もし昨日入社したばかりの社員が怪我または病気により、「休職」を希望するなら、会社は拒むことができないのです。
そして最低でも○年以内は、会社が社会保険料の負担をすることになるのです。
大企業ならいざ知らず、また○ヶ月ではなく○年も、不在の社員の社会保険料を負担し続けるようなことは、中小企業ではとてもそんな余裕はありません。
ですから、休職を取れる社員を予め次のように限定しておくとよいでしょう。
<休職期間>
・勤続1年以上3年未満の者・・・3ヶ月
・勤続3年以上の者・・・6ヶ月
そしてさらに社会保険料の会社負担分についても、社員が負担することを明記しておくとよいでしょう。
これらのことを就業規則に定めておき、休職前にこの覚書をきちんと説明し、署名しておいてもらえば、おかしなリスクをかなり低減することができるでしょう。
このような感じで、役所でもらったようなモデル就業規則を使っていると、会社にとって危ないことがたくさんあるのです。
自社の就業規則がどうなっているか、この機会に確かめてみましょう。
いざ問題になってから、就業規則に「この一文さえなければ・・・!」
また反対に「この一文さえ入っていれば・・・!」
と悔やまないようにしましょう。