赤字企業が運転資金の調達に使える公庫の「危機対応後経営安定資金」
2025年2月にスタートした日本政策金融公庫の「危機対応後経営安定資金」は、赤字決算や業績悪化に直面する中小企業でも運転資金の調達ができる制度です。資金繰りに不安を感じる今、厳しい局面を乗り越えるための支援策として、ぜひご活用ください。
1.「危機対応後経営安定資金」とは
「危機対応後経営安定資金」は、2025年2月に日本政策金融公庫が開始した融資制度です。直近の決算が赤字でも利用可能で、融資限度額は7,200万円、利率は基準利率、返済期間は20年以内(据置期間2年以内)とされています。この制度を活用することで、最大2年間の元金返済据置が可能となり、返済期間も長期化できるため、毎月の返済負担を大幅に軽減できます。資金繰りの安定と経営再建に向けた強力な支援策となっています。
2. 「危機対応後経営安定資金」の利用要件
「危機対応後経営安定資金(セーフティネット貸付)」を利用できるのは、過去の災害や感染症による影響で債務負担が重くなっているものの、中長期的には業績の回復が見込まれる企業です。
対象となるのは、①新型コロナウイルス感染症特別貸付、②挑戦支援資本強化特別貸付、③衛生環境激変特別貸付、④旧・危機対応後経営安定資金、いずれかの貸付残高がある方で、かつ返済負担が重くなっている方です。今後の業績回復の見込みを示すことも重要なポイントとなります。
3.債務負担が重くなっている方の要件
この制度は、単に返済が苦しいというだけでは利用できません。制度を使うには、直近の決算書をもとに「債務償還年数」という指標を計算し、その年数が13年以上かかることが必要です。
債務償還年数は、「全負債額 ÷(減価償却前の経常利益×1/2+減価償却費)」で求めます。
簡単にいえば、直近の決算で経常利益が赤字の場合、特別に大きな減価償却費を計上していなければ、多くの企業がこの基準を満たす可能性があります。ただし、実際にはさらに細かな条件も定められています。制度を活用して資金繰り改善を目指す場合は、必ず日本政策金融公庫に詳しい要件を確認し、自社が対象となるかをしっかりチェックしましょう。
4.コロナ融資の借り換え以外にも使える
「危機対応後経営安定資金」は、資金繰りに悩む経営者のための日本政策金融公庫の制度です。
この制度は、「既往債務の返済負担を軽くするために必要な運転資金」として利用でき、コロナ関連融資の借換えだけでなく、その他の借換えや通常の運転資金にも使えます。
借り換えや資金調達により返済負担を減らし、経営の安定を目指すことができます。ただし、利用には「中長期的に業績が回復・発展する見込みがあること」を示す必要があります。
そのため、公庫に申し込む際には事業計画書を作成することが求められます。
事業の将来像を整理し、回復への道筋を描くことが、融資成功のカギとなります。資金繰りに課題を感じている方は、ぜひこの制度の活用を検討してみてください。
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